美味しいものは心の栄養‥‥。
主婦ひめが日々の食事とその周りを綴る食日記。
2003.08.12〜

◇◇go to INDEX◇◇◇

*☆*☆*☆*☆*☆*次の週へ

01.11.Sun.
鏡開き。

実はここ数年、鏡餅をお飾りしていなかった。
我が家はマンションなので、冬でも暖かいし、加湿器も四六時中ONになっているから、ホンモノのお餅の鏡餅など置こうものなら、あっという間にカビてくる。
かといって、プラスチック(ビニール)でカバーされた鏡餅を飾ったこともあるが、いかにもニセモノを飾っている雰囲気で好きになれない。
それに、お正月のお餅を食べきるのでせいいっぱいで、鏡餅は結局食べきれない。
でも鏡餅の無いお正月は、何かポイントが抜け落ちているようで寂しい。

と思っていたら、イイモノを見つけた。
年末、赤坂の「松月」過去の日記参照)に行ったら、お砂糖でできた鏡餅があった。ミニサイズの鏡餅で、とても可愛らしい。
お砂糖だからカビないし、ちゃんと食べられるんですよ、と女将さんが言った。
おお、それは我が家にぴったりだ、と早速購入して、今年はめでたく鏡餅のあるお正月を迎えることができたのである。

砂糖菓子のミニ鏡餅は思ったとおり、毎年ずっとそうしていたかのように、なかなか我が家に馴染んでいた。
鏡開きは女将さんに教えてもらったように、ちゃぽんとお水に浸けてから、しばらく濡れ布巾の上に置いた。やがてカチカチだったお砂糖はしっとり水気を含み、落雁になった。
夕食後、夫とお煎茶でいただき、無事鏡開き終了。
米粉の風味が残る優しい甘味が、お正月の余韻をくっきり浮かび上がらせ、そしてすっと消えた。




鏡餅を乗せているのは枡(マス)。
ミニミニ具合を察していただけるだろうか。
手前はおめでたい干菓子。
美味しい落雁と飴だった。




今夜はきつねうどん。
お汁は讃岐うどんらしく、色は薄くあっさりと。
その分、お出汁はきっちりと。
お揚げさんは多めに炊いて、
明日のお昼はおいなりさん!

☆今夜のお献立
温泉卵入りきつねうどん。鏡開き。

01.10.Sat.
小さい頃に植えつけられた金銭感覚というものは、大人になってもそうそう変わるものではない。

今夜はお寿司を取ろう、ということになった。夫もわたしも、ちょっぴり美味しいものが食べたい気分だった。
だから、ときどきお世話になる宅配専門のお寿司屋さんではなく、きちんと店舗を構えているもう少し美味しいお寿司屋さんに、出前をお願いすることにした。

さて、どれを注文しようか、という段になって迷った。お品書きには、梅、竹、松、その上に「超特上」とある。
夫はその店に、1、2回食べに行ったことがあった。
「すごく美味しいというわけではないけれど、ちゃんとした店だから、そこそこ美味しいよ。どれでも好きなものを注文していいよ」
と言って、夫は何か別のことをしに席を立った。
困る、そういうのはすごく困るのだ。

わたしが小さかった頃、両親は外食や出前を好まなかった。
経済的な理由もあったが、子供にそんな贅沢は必要ない、家で食べるのが一番だ、というような考えもあったようだ。
おかげで、わたしは今でも出前をお願いするときに、家事をお休みする罪悪感に、「贅沢をしていいのだろうか」とさらに罪悪感の上乗せをして緊張する。
レストランでは高いものを値段も気にせず注文したり、高級スーパーでお買い物したりするのが好きなくせに、出前に限り、貧乏性で小心者になるのだ。

そんなわけで、お寿司の注文を任されたわたしはどきどきした。
超特上は有り得ないな。竹か松か‥‥。
たった500円の差にさんざん迷った挙句、おそるおそる松を指差して
「あのう、これにしてもいいかしら」と夫に訊いた。
いいんじゃないの、と特に意味を持たない平凡な声が返ってきた。
「超特上にしない分、こんど、あのお寿司屋さんに連れてってね」
と、わたしは貧乏性を隠そうと、慌てて小さな声で付け加えた。
よく考えると、本当はこれはおかしい。なぜなら『あのお寿司屋さん』は超特上をがまんしたくらいのお値段では全然足りないから、これでは別途おねだりをした格好になる。
もちろん、そんなつもりではないのだが。

届いたお寿司は、思っていたよりもずっと良いものだった。
「美味しいわねぇ」
出前小心者のわたしは、思い切って松にしてヨカッタ、と満足した。夫も美味しいね、と相槌を打ちながら言った。
「ほんと、超特上でなくても結構いいね」
えっ、と思った。ひょっとすると、夫も出前小心者なのだろうか?
いや、そうではない気がする。
とすれば、わたしの小心者ぶりをすっかりお見通しで言った言葉なのかもしれない。恥ずかしいったら!
でもこれで、次回は迷うことなく「この前美味しかったから、松にするわね」と言えると思うと、小さく安堵した。
ああ、やっぱり小心者から抜けられないそうにない。


☆今夜のお献立
お寿司、お豆腐とおねぎのお味噌汁、りんご。
01.09.Fri.
今年は新潟風のお雑煮をお正月に作らなかったので、鏡開きの前に一回は作っておかなければと思い、夜ごはんはお雑煮にした。

新潟風(長岡風)のお雑煮は具沢山だ。
白菜、長ねぎ、ごぼう、にんじん、里芋(今日は省略)、こんにゃく、ぜんまい、かまぼこ、うずらの卵、それと鮭のぶつ切りを入れる。
鮭とお野菜からいいお出汁が出るので、味付けはお醤油のみ。お餅は別鍋で煮て加える。
いただく直前に、いくらを入れて親子にするのが特徴だ。

ええと、こんなカンジのお味だっけ。
わたしは夫の実家でお正月を迎えたことが無いので、義母(姑)の作るお雑煮を食べたことが無い。新婚当時、電話で作り方を詳しく習ったきりだ。
今夜のも、お汁としては悪くないお味なのだが、数学のテストでとりあえず解いたものの、赤いマルをもらうまでは心配で落ち着かないときのように、とても居心地が悪い。
数学の場合はそれでも検算をするとか、確認のしようもあるだろうが、お雑煮の味はそうはいかない。
「どうかしら」と夫に訊いた。夫はすぐには答えなかった。
もうひとくちお汁をすすり、言葉をさがしているようだった。
「どうなの、どこか違う?」」
「うーん、こんな味だったかなぁ。もう忘れちゃったみたい」
「それは困るのよー。一応作り方はあっているはずだから、きっとこんな味だったでしょ、ねぇ」
「そうだったような気もするけれど、わからないよ。それに正直なところを言えば、この間の関東風(ひめ風)の方が好みかもしれない」

母の味を忘れてしまったという事実には驚いたが、考えてみれば、夫がそういうのもわからないでもない。
夫ももう故郷で過ごした年月よりも、東京で過ごした年月の方が長くなっているのだ。
でも嫁としては、一言でいいから「そうそうこの味!」とか「やっぱりウマイな」と言ってもらわなければ困る。別に義母が見ているわけではないが、気持ちの問題だ。
わたしは「ね、おいしいでしょう」と繰り返した。
うーとか、あーとか、煮え切らない反応をしていた夫は、お椀を空にしてから思い出したように言った。
「美味しかった。慣れてくると新潟風もウマイな。うん、こんな味だったかもしれない」
ああ、まったく。
夫が故郷の味を忘れかけていることを嘆くべきか、それともわたしの味にすっかり染まったと喜ぶべきか。
ビミョウな立場に立たされて(義母が見ていないとはいえ)、「そうね、また作るわね」と適当な笑顔でごまかした。

とにかく、義母に一度、ホンモノを作ってもらわなくっちゃ!


☆今夜のお献立
長岡風お雑煮、ミニお汁粉ときなこのお餅。

01.08.Thu.
SEIKOの新成人アンケートによると、女性は30歳になったら「おばさん」だ、と彼らは思っているらしい。
ひどいなぁ。
そりゃあ、我が身を振り返ってみても、確かに二十歳そこそこの頃は、オンナは二十代が花だと思っていた。
三十代、四十代の自分なんて、想像がつかなかったし、考えたくも無かった。

鏡の中の自分をじーっと見つめていたら、白髪を発見した。どきどきして、えいっと抜き取った。
根元半分がシルバーに輝く、ツートンカラーの髪の毛だった。
年齢的には白髪があってもおかしくないのであるが、今まで1本もお目にかかったことがなかったのである。げんなりした。

が、主婦の一日はけっこう忙しい。いつまでも落ち込んでいるわけにはいかないのだ。
今日はお正月に使った漆器類を片付けた。
仮洗いしてあったお重箱やお屠蘇器、お椀、平皿などを隅々まで丁寧に洗い、乾いた布巾できゅっきゅと拭きあげる。
傾いてきた日差しを浴びて、黒や朱色が一段と冴える。

‥‥お世話になりました、来年もまたよろしく。
お重箱もお椀もお正月に限らず、どんどん使うように心がけているので、またすぐ出番があるだろうけれど、一応ごあいさつをしておいた。
すがすがしい気分だった。
考えてみれば、若い頃はこんな気分を味わうことは無かったかもしれない。
おせち料理も心底堪能した。お義理でなく、ほんとうに美味しいと思ったのだ。
背筋の伸びた日本人に、一歩近いたのかもしれない。

今夜もお粥さん。
夫が、馴染みの鍼灸師さんから、「だいぶカラダが弱っていますよ」と言われたらしい。
年末、体調を崩して2日間絶食したのが響いているのだろうか。
二日続きのお粥さんだが、今夜のは鶏がらスープで炊いた中華風。さらさらまったりで美味しい美味しい。
薬膳風のカラダの温まるスープも添えた。
夫は、くいっと気分良く燗酒を飲み干して言った。
「女将、もう一本頼むよ」
「まあ、旦那さん、あと半分だけですよ」
半分コワイ顔をしてみせたものの、堪え切れずにくすりと笑った。

「おじさん」「おばさん」の日常は、緩やかで優しい。








☆今夜のお献立
鶏がらスープの卵粥、玉ねぎとさつまあげのさっぱり和え、
カラダぽかぽかスープ、塩豚のハム風、明太子、梅干、黒豆。
デザートにユーハイムのバウムクーヘン♪。


>>>>>>>>>>>>>>
玉ねぎとさつまあげのさっぱり和えの作り方;

1)玉ねぎはタテに薄くスライスし、しんなりするまで塩もみ。

2)さつまあげ(orちくわ、かまぼこ)はさっと湯がき、薄く切る。

3)1の玉ねぎをさっと水洗いして、しっかりしぼる。

4)玉ねぎ、さつまあげ、柚子の絞り汁(レモン汁)、からし、ごま油少々をよく混ぜ合わせる。炒り胡麻をトッピングしてできあがり。

>>>>>>>>>>>>>>
カラダぽかぽかスープの作り方;

1)かぶ、にんじん、レンコン、そのほか大根やごぼうなど余っている根菜を食べやすく切って、たっぷりのお水で煮る。

2)生姜の千切り、にんにく(二つ割りして芽を取る)、食べやすく切った鶏肉(あれば胸肉、皮も味出しに使う)も加える。

3)あれば、はすの実、くこの実、さんざしなどを入れる。

4)根菜が柔らかくなったら、お塩・お醤油・お酢少々で味を調える。

01.07.Wed.
七草。

「七草」とは、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズシロ(大根)、スズナ(かぶ)である。
我が家でも毎年、七草粥を作るが、本来の七草を使ったことは1回あるかないか、というところ。たいてい、ハーブなども入れてありあわせ青物で、七種類そろえる。

今年も作る予定だったが、夫もわたしも今日は少々胃腸が弱っているようだ。なので、七草は省略。
ゆっくり炊いた白粥に卵を溶きいれて卵粥にした。
肌色にも近い穏やかな卵色は、見ても食べてもほっとする。

どうぞ一年、無病息災でありますように。


☆今夜のお献立
卵粥、生鮭の塩焼き、さつまあげの網焼き、明太子、梅干、黒豆、
温奴とほうれん草の出汁びたし、大根とわかめのお味噌汁。


※7日にうっかりした方も、今からでもぜひいただいておきましょう。
昔ながらの作り方は、炊いた白粥に刻んだ七草を混ぜ合わせるが、セリなどの香りが苦手な場合は、いったんさっとゆがくと良い。

→ひめ風ありあわせ七草粥の作り方(2002/1/7美味小話
01.06.Tue.
夜、背中がゾクゾクする。暖房の設定温度を上げても、寒くて仕方がない。
セーターを重ね着して、リビングに毛布を出して包まることにした。
こんなときの必殺技は「イヌアンカ」。
犬を毛布の中に引き入れてぴたっと抱き、毛布をすっぽり頭からかぶれば、ぬくぬくぽかぽか。
つい、わたしもヤツも、うとうとしてしまったらしい‥‥。
どのくらい時間が経ったのだろうか。
ワゥワゥワゥワゥゥーッ、と突然、犬がものすごい勢いで毛布から飛び出していった。
のろのろと顔を出すと、いつのまにか帰宅した夫が、心配顔で立っていた。

うっかり寝ちゃったけれど、夜ごはんはダイジョウブ。鹿児島に帰省した方から「さつまあげ」をいただいたので、今夜はお蕎麦なのだ。
急いで夫とふたりでお台所に立った。

「揚立屋」のさつまあげは、なかなか美味だ。
前にいただいたときもとても美味しくて、一枚一枚大事に食べたのを覚えている。
お魚の旨みがしっかりしていて、生姜醤油で食べると、ほんのりした甘みが引き立つ。それに、ちっとも油臭くないから、何枚でも食べられる。
いつもはさっと網焼きにするのだが、よくよくリーフレットを見たら、電子レンジで温めるといいらしい。
お燗した「一ノ蔵」に、ふっくらと温まったさつまあげと、ざる蕎麦がよく合った。ただし、わたしはお酒はほんのひとくちだけ。
代わりに甘酒をいただいて、カラダの冷えを静めた。

床に付く前にカレンダーを見ると、今日は寒の入りだった。



☆今夜のお献立
「揚立屋」のさつまあげ、ほうれん草の胡麻汚し、ざる蕎麦。

◆さつまあげ / 揚立屋
栞によれば、鹿児島ではさつまあげを「つけ揚げ」と言うらしい。
琉球との交易が行われた弘化年間に、島津28代藩主斉彬公により、琉球料理のチキアーギ(魚肉のすり身を上げたもの)が薩摩に伝わって「ツケアゲ」になったそうである。


01.05.Mon.
本日から平日モード。
第一発目は、やっぱり白いご飯にお味噌汁でしょう。というわけで、こんなお献立。
お正月の名残がそこここに見えるけれど、それもまたよし。

白いご飯は久しぶり。
南部鉄のお釜で炊くご飯は、ほんとうに素晴らしく美味だ。
新年のご挨拶の画像にも登場させたこの飯釜は、盛岡の鋳物屋「釜定」のもの。去年購入したのを機に、思い切って炊飯器は押入れに閉まった。
このお釜を愛して愛して、一生使い込むつもりである。

本日のオススメのおかずは「塩引き鮭」。ただの新巻き鮭ではない。
塩引き鮭は新潟県の北部、村上で作られ、その製法も味も独特である。一週間塩漬けし、その後水出しをして、それからじっくり陰干しをするという。
新巻き鮭に比べてまろやかで深みがあり、熟成された旨みがある。
これだけでご飯がぱくぱく2膳はイケル。

「こんなにご飯に合うものが並んたら、おかわり仕方無いよね」
と、いつもは一膳と決めている夫が、お茶碗を差し出した。
そうねそうね、でも三膳は食べすぎじゃないかしらね。





☆今夜のお献立
塩引き鮭、はらこ(いくら)、かぶと車麩のさっと煮、
お正月の残りシリーズ(ぜんまいと車麩のお煮物、お煮しめ、黒豆)、
納豆、白菜のお漬物、大根のお味噌汁、
白米(画像では黄色っぽいけれど、羽釜で炊いた真っ白な新米)。



◆塩引き鮭 / うおや
一尾でも切り身でも売っています。
はらこ(塩引き鮭の画像の右上)も大変美味!


◆飯釜(羽釜) / 釜定 
「釜定」および釜定三代目の作家 宮 伸穂氏について
参考ページ→




*☆*☆*☆*☆*☆*前の週へ


Copyright(C)2004Kitchen.Hime.All Rights Reserved.
無断転載不可。
Web日記『食欲日記』は「キッチンひめ」に属しています→