美味しいものは心の栄養‥‥。
主婦ひめが日々の食事とその周りを綴る食日記。
2003.08.12〜
 
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02.29.Sun.
フレンチ・カフェでデート♪

ちょうど午後のお茶の時間で、店内は満席だった。春のスモーキーな青空は風が冷たかったけれど、窓の内側は明るい日差しが溢れていた。

左隣は30代くらいの女性ふたり連れ。
大きなアイスティーのグラスが空になったのも気が付いていない様子で、おしゃべりに夢中だった。よく笑って、楽しそうだった。
右隣は品良く着飾った40代くらいの夫婦。
女は携帯電話を取り出して、夕食に来ないかと友人と話し始め、男は妻から視線をはずして窓の外を見ていた(少なくともそう見えた)。電話が終わると、夫婦は低い声で何か話し合っていたが、ふたりとも表情というものがまるで無かった。

夫とわたしはハーブティーと、ふたりでひとつ、サバランを注文した。
ケーキは想像していたよりもずっと美味しかった。スプーンを口に運ぶごとに、いちいち、うっとりしたくなるくらい。ハーブティーもとても気に入った。
向かいに座る夫は、穏やかな笑顔を浮かべていた。
特にたくさんおしゃべりをしたわけではないけれど、なんだか嬉しくて楽しくて、わたしはにこにこしていた。

夫とわたしは家でも外でも、真横に並ぶか、90度の角度で横に座ることがほとんどだ。外を歩くときも、夫がわたしの車椅子を押すので、互いの顔を見ることはめったにない。
いつでも触れ合える位置にいるのはとても安心するし、わたしたち夫婦にとっては自然な関係である。でも、顔を見ることができないのは、ほんとはすこし寂しい。
だからカフェなどで向かい合って座ると、なんとなく嬉しくて、じっと相手を見てしまう。

今日の席は、手をのばせば彼の手に触れそうで、でもずいぶん遠いようにも感じる微妙な距離だった。逆光の中で夫をゆっくり眺めるのは、なかなか新鮮だった。
どこからどう見てもオジサンだけれど、ふむ、出会った頃より今の方がいいカンジ、好きだわ‥‥。
と、そのとき夫が何の脈絡もなく言った。
「すこし痩せた?」
「ううん、そうでもないけれど。どうして?」
「鼻の脇にシワができているよ」
「そ、それはね、」わたしは予想外の展開に、急に日差しが暑く感じた。「痩せたのではなくて、歳をとったからよ。やーね、もぉ」
夫は慌てて、シワではなくてさっきのような表情が良くないと言いたかったのだ、などとフォローに走った。

まったく、失礼しちゃう!ひとが気にしていることを。
ケーキが美味しかったから、おヘソを曲げるのは止めたけれど、せっかくのデート気分が台無しだ。
それにしても油断禁物。気分良くて、うっかり無防備な表情(かお)をしていたのかもしれない。
くやしいけれど、重力には逆らえない年齢になってきている。だらっとした心では、よりいっそう老けて見えてしまう。
いつもすこしの緊張感を持っていなくては。

でももう当分、向かい合う席には座らないことにした。また余計な発見をされたらたまらないもの。ぷんっ。





『ババ・オー・ラム』、つまりサバラン。
今まで食べた中で、いちばん美味しかったかもしれない。
ハーブティーも美味しかった。



02.28.Sat.
ようやく包丁を買った!(→包丁欠け事件2/18
結局一週間以上、刃渡りが短い包丁で我慢したのである。

購入したのは、「木屋」のコスミック團十郎鍔付。予算よりだいぶオーバーしてしまった。
が、素晴らしい使い心地!適度な重さがあり、握るとしっくり手に馴染む。
このコスミック團十郎のシリーズは、コスミックスチールという新しい製鋼法による新刃物鋼で、切れ味長持ちの人気商品なのだそうだ。
切れる切れる、スパスパ切れる。すーっと刃が中に入り込むような感覚である。
やっぱり料理だって、「弘法、筆を選ぶ」なのだ。切れ味がいいと刻むのが楽しいもの。

お店の方によく訊いてきた。
冷凍食品は切らない、刃を直火に当てない、使ったらなるべくすぐに水気を拭き取る。
うーん、今までなんと荒っぽい使い方をしていたことか。
もうひとつ、へぇと思ったのは、刃を研ぎに出すタイミング。
わたしは毎日のように簡易研ぎ器で研いでいた。もちろん、トマトを切るときなど、応急措置的にはこれでかまわないのだろう。
が、基本的にはそう頻繁に研がねばならないようであれば、研ぎに出した方がいいのだそうだ。

おニューの包丁、ずっとずっと大切に使うわよぉ〜!





「カバーをはずして撮らなくっちゃ、刃の感じがわからないよ!」
と夫に指摘された。
でも、もし包丁が飛んできたらコワイじゃないの〜
(ウソウソ、カバー取るのを忘れただけです。笑)





ホントはお肉用、お魚用、お野菜用などと
何本も包丁をそろえるといいのだろうけれど、
家庭ではそうもいってられない。

わたしも何本か持っているけれど、
結局、よく使うのは1、2本。
使う時間が長いほど、手に馴染んでくる気がする。

そういうわけで、今夜はニュー包丁お試しごはん。



☆今夜のお献立

水餃子、蒸し千切りキャベツ、菜の花の卵炒め、ブロッコリーの塩茹で、レンコンのごま油塩炒め(シンプルだけど美味しい♪)、冷奴。

02.26.Thu.
夫の不幸話、その後。

わたしはレシートを片手に、コンビニのお客様窓口に電話した。クレームをつけるためではなく、連絡のためだ。
窓口の女性はしっかりと研修を受けているらしく、すぐに担当に連絡します、とあまり抑揚の無い声でテキパキと応対した。
ほどなく、当該商品を製造している会社の営業マンから電話が来た。お客様窓口の女性から担当者へ、そして商品製造者へと迅速に連絡が廻ったのだろう。
当たり前ではあるけれど、スバラシイ。わたしはこれだけでかなり満足した。

営業マンは出先から公衆電話でかけてきた。卑屈にならない程度に、十分低姿勢だった。
「当社の商品でご迷惑をおかけしたそうで誠に申し訳ありません」
とよどみなく、早口で侘びを言った。
わたしは、その商品が原因だと断言はできないけれど推察される、とドクターの診断を受けたので、一応連絡したのだと言った。

「ほかに同じような連絡はありませんでしたか」
「正直なところ、お客様のご連絡だけなんですよ」
相手は急に元気が良くなった。予想の範囲内の答えだが、勢い良く言われるとちょっとたじろいでしまう。
しかしわたしはクレイマーではないし、事件をでっち上げしているわけでもないのだ。笑顔を作って態勢を立て直し、もう一度電話の趣旨を説明した。
営業マンは状況を理解したようだった。
「いずれにしましても、せっかく当社の商品をお買い上げいただいたのに、ご不快な思いをされて申し訳ありませんでした。心ばかりのものを送らせていただきます。今後とも当社の商品をよろしくお願いします」
と営業マンはマニュアル通りに話をまとめた。
何か送られてもちょっと困るなぁと思ったが、無理に断るのも面倒だった。

わかりました、と電話を切ろうとしたとき、「あのう」と営業マンは口ごもった。
「ご主人様、どうぞお身体をお大事になさってください」
ビジネスライクな口調が、ふっとほどけた。
夕暮れの電話ボックス。アタッシュケースを足元に置き、メモをしながら電話している彼の顔が見えた気がした。





ようやく普通のお食事に戻った。
めでたい!

手前は新じゃがの肉じゃが。
ただし、消化を考えて豚肉ではなく鶏肉。
あっさりして美味しかった。
左奥は「お焼き風ふんわり卵焼き」、
右奥の黒いお鍋は、愛用している南部鉄のご飯釜。


☆今夜のお献立
鶏肉じゃが、お焼き風ふんわり卵焼き、海苔の佃煮(ビン)、
かぶとお揚げのお味噌汁、ごはん。


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お焼き風ふんわり卵焼きの作り方;

1)長ねぎ1本、キャベツ3枚を細切りにし、耐熱ボウルに入れてラップをかけ、電子レンジで1〜2分加熱して、しんなりさせる。

2)1のボウルに小麦粉大さじ2、卵1個、牛乳コップに約1/4、ごま油大さじ1、オイスターソースとお塩少々を加えて、全体をよく混ぜる。

3)フライパンに薄く油をひき、フタをして表裏を焼く。

※長ねぎとキャベツのたっぷりのふんわりしたチヂミ風の卵焼き。
そのままでも味がついていますが、お好みでケチャップやスイートチリソース、辛子醤油をつけて食べます。


02.24-25.Tue-Wed.
ひどいめに遭った。わたしではない、夫だ。

火曜日のお昼、夫はコンビニで買った焼きそばを食べた。それから急に体調がおかしくなったらしい。
夕方になっても胃もたれがひどく、水を飲むのさえやっとの状態。早々に会社を出て帰ってきた。

夫は帰るなり、スーツを脱ぎ捨ててベッドにもぐりこんだ。表情の無い白い顔をしていた。
夜ごはんどころではない。夫は一晩中、激しい胃痛と腹痛、倦怠感と発熱に唸っていた。
風邪のようにも思えたが、やきそばがアヤシイ気がした。なにしろあのお昼を境に、まるでオセロで白が黒に反転するようにくっきりと体調が変わったのだから。

翌朝、夫は病院へ行った。
医師の判断は、「他の人がどうだったのかがわからないから断言はできないけれど、そのやきそばが原因でしょうね」ということだった。
生モノではないから、食中毒というのとは少し違うのかもしれないけれど、やきそばの何かがカラダに合わなかったのは確かだろう。ちょっと疲れていたとか、そういう他の要素も重なったのかもしれない。

夫は体調が悪くても、食欲が落ちることはめったに無い。夜、お薬のおかげで胃痛と腹痛が治まったら、モーレツにに空腹を感じてきたらしい。
わたしは絶食している夫に関係なく、あるもので晩ご飯にした。
「おなかすいたなぁ、何か食べたいなぁ」
と夫は隣の部屋で、テレビに向かって何度ももそもそと呟いた。
「ひとりだけ食べて悪いなと思うけれど、ぜーんぜん美味しくないごはんよ。詰め込んでいるっていうカンジ」
わたしは慌ててそう言った。これは嘘ではない。
夕べ炊いた玄米ご飯に、夕べ作ったお味噌汁とほうれん草のおひたし、それにお豆腐か納豆、海苔の佃煮。夕べと今日の三食、ひたすら同じメニューを食べていたのだ。

夫は「ふーん」と興味無さそうに返事をした。が、そんなことでは空腹の慰めにはならなかったのだろう。ぬるくなったポカリスエットを飲み干した。
ちょっと気の毒になったわたしは
「お粥さんでもすこし食べる?」と訊いた。
「いや、我慢する」
「でも少しならいいんじゃないの?先生は何て言っていたの?」
「食べてもいいけれど、食べなくてもいいんですよって」
わたしは思わずくくくっと笑った。たしかに一日や二日食べなくても、ラクダのコブのようにたっぷり蓄えたお腹があるのだから、まったくモンダイはないだろう。
老齢にさしかかった女医さんが、夫のお腹をしげしげと見ながら言ったのかと思うとおかしかった。

かくして夫ははからずも、リバウンドの兆しが見えていた体重をリセットすることに成功した。


02.23.Mon.
某社の通販カタログが届いた。
その中に、京都のおばんざいセットの頒布コースがあった。わたしはこうした調味済みのセットを買うことはめったにないが、写真を見るのは楽しい。

セットのメニューを見ていくと、れんこんのきんぴらがあった。わたしも大好きでよく作るので、おばんざい風に作るとどうなるのか気になった。
ところが写真を見ても、それらしきものが見当たらない。もう一度、料理名と写真をひとつひとつ確認しながら見ると、あったあった、白く短冊切りになっているものが、どうやらそうらしい。
輪切りでなかったので、見落としていたのだ。

野菜は切り方で、食感も味の染み込み具合もずいぶん違う。
繊維に沿って切ればシャキシャキの歯ざわりが楽しめ、繊維を断ち切るように切れば香りやねばりなどが引き出せる。
れんこんのきんぴらも食感を重視すれば、写真のようにタテに切るのが正しいだろう。
でも、レンコンはあのお花のようなマルマルの穴があるのが好きで、わたしはほとんど輪切りにして使う。例外は、たまにお煮物で乱切りにするくらいだ。
だからタテ切りの穴のないレンコンのきんぴらは、とても新鮮だった。真似しようとは思わなかったけれど。

というわけで、れんこんのきんぴらを作った。
輪切りにし、ざっとごま油と少々のお塩で炒めてから、おだしとみりん、お砂糖、薄口醤油、タカノツメを加えて炒め煮する。今日はお酢を入れて色を白めに仕上げ、お醤油味も控えめ、ちょっとおばんざい風だ。
レンコンをタテ切りにしない分、加熱は強火で短時間にしてシャキシャキの歯ざわりを残した。シャキシャキ、ピリ辛、色は白木くらい。
食卓に出したら、レンコン2節があっという間に無くなった。

作り慣れているものでも、気分によって少しずつ味が違うのが、プロと主婦の決定的な差である。いいとか悪いとかでなく、小さなお遊びを楽しめるのが家庭料理。
そして、わたしはそういう料理をするのが大好きである。プロには向いていないわね。



☆今夜のお献立
小松菜とお揚げの煮びたし、芽キャベツのチーズ焼き、塩引き鮭、
れんこんのきんぴら、納豆、岩海苔、ぬか漬け(かぶ)、岩のり、
菜の花のお味噌汁、玄米。
いちごヨーグルト、たんかん。



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