美味しいものは心の栄養‥‥。
主婦ひめが日々の食事とその周りを綴る食日記。
2003.08.12〜
 
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04.03.Sat.
前日までとは打って変わって、春うららかなお出かけ日和だった。

午前中は某大学病院で外来診察。だいぶ混雑していた。
先月も予約していたのだが、体調が良くなくてキャンセルした。そんな患者さんが多かったらしく、3月の外来は空いていたらしい。
吹き抜けのロビーに、特大のこいのぼりが泳いでいた。

会計を済ませ、薬をもらって病院を出ると、正午をとっくに過ぎていた。空腹を抱えたまま、美味しいランチを求めて、日本橋まで足を伸ばすことにした。




先月オープンしたばかりのCOREDO(コレド)日本橋。
春休みということもあり、老若男女でごった返していた。
1Fとレストラン・フロアしか見なかったのだけれど、
うーん‥‥あまり食指が動かなかった。
たぶんターゲットが違うのだろう。
→COREDO公式サイトはコチラ

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コレドを出て裏手の「たいめいけん」へ。
もう2時近かったが、まだ行列が延びていた。ただし行列は1階の“大衆食堂”待ちの人。フレンチのコースを出す2階なら並ばなくてすんなり入れる。
一瞬考えて、行列に加わることにした。ビル街の日陰で並ぶのは意外と寒い。手足が冷たくなるのも我慢我慢。美味しいオムレツのためだもの。

ガラス扉の向こうでは、老舗の味に舌鼓を打つ笑顔が満席だった。
ちょっとお行儀が悪いと思いつつも、ついついガラス扉の向こうを覗き見したくなる。ふと見ると、前の家族連れも後ろのカップルも同じことをしていた。
お客が出入りする度に、ドミグラスソースのダークブラウンの匂いが鼻先をかすめていくのだ。誰だって思わずガラスにおでこをくっつけたくなると思う。
30分くらい待って、ようやく入店できた。

店内は青白い蛍光灯と木のテーブルと椅子で、なかなかアンティークな雰囲気だった。カウンターの上などに、昔の鍋などが飾られている。
ちょっと陰気で古臭い空気に、人々の声や食器の音がぴったりとはまっている。旋律のないBGMはここでは効果的である。
行列が途切れないくらいだから、店内は大忙し。料理人とウエイター・ウエイトレスはきっと相当な集中力を必要とされているだろうに、しかめっ面や怒鳴り声はいっさい無し。お愛想笑いもないけれど、動きに無駄の無いプロのお仕事ぶりに感心した。

その彼らだが、とても「正しい格好」をしている。
ウエイターはブラックスーツに蝶ネクタイ、ウエイトレスは紺のワンピース(たぶん)にフリルのついた白いエプロン。料理人は遠めからもパリッとしているのがわかるコック服に、ひだのある縦長のコック帽。
まるで小説の中に出てくるレストランのようだ。レトロを装っているのではなく、時を経てきたホンモノ加減がユニフォームのくたびれた感じに現れていた。
混んでいたし、席と席の間隔は広くないし、蛍光灯の照明はすこし暗かったけれど、生きている「たいめいけん」は魅力的な空間だった。こういうの、けっこう好き!




1階は“大衆食堂”と呼ばれるフロア。
比較的リーズナブルなものを単品オーダーする。
(といっても、それなりのお値段です。)
オムレツ、フライ、グラタン、カレーなどの定番から、
なんとラーメンまである。
(お店の脇に別途入り口があって、
立ち食いラーメンのブースになっているようだ。)





たいめいけん名物メニューのボルシチ。50円。
ほかにコールスローも50円。
エライ!





オムハヤシ。1850円。
決してお安いお値段ではないけれど、
食べてみれば納得のお値段。
何しろすごいボリューム。
わたしだけでなく、周りの女性客も
ひとりで全部を食べるのはなかなか大変そうでした。



ふるふるとろんとろんの半熟オムレツは、濃厚なバターの香りをまとい、ドミグラスソースの豊かな味が深みを添える。
中はハムと玉ねぎのシンプルなケチャップライス。強すぎず、かといって弱すぎずの絶妙な背景に徹している。

玉子とソースとライス、ひとつひとつも美味だけれど、口の中で三位一体和合したときに素晴らしいハーモニーが生まれる。

もうひとつ、これはタダモノではないと思ったのは、味のバランス。
普通、これだけの量を食べれば最後には飽きてしまうものだ。
ところがこのオムハヤシは違う。お腹いっぱいになっても「もうひとくち食べようかな」という気分になっちゃうのです。






ハンバーグステーキ。2250円(ライスは別で300円)。

ダークブラウンのソースにどっしり横たわるハンバーグに
とろりと落っこちそうな目玉焼き。
120%冷凍食品でないポテトフライに、さやえんどう、
ほろりと口の中でほどけるにんじんのグラッセ。

ハンバーグは今風にスパイスを効かせたりなどしてなくて、
お肉をこねた回数を教えて欲しいくらい、
玉ねぎもお肉も一体となって馴染んでいた。
手のぬくもりを感じる、どこか懐かしい味。
これ以上完璧なハンバーグがあるだろうか。
少なくとも、昭和の高度成長期時代に
子供時代を過ごした我々には、ひとくち食べるごとに
「ああ、これこれ!」と
とても嬉しくなったハンバーグだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「たいめいけん」は長い時間をきっちり生き続けている、と思った。
ミシュランのように採点するならば、飛び上がるほど美味しいというわけではない。「マイッタ!」とノックアウトされるようなインパクトもない。
が、「さすが!」と唸る何かがあるのだ。それは揺るぎない信念のようなもの。そしてそれはおそらく、味を保ち続けるためのたゆまぬ努力によって支えられているのだろう。

長年愛されているには、それだけの理由と価値がある。



たいめいけん
中央区日本橋 1-12-10、Tel; 03-3271-2464
オムライスは一階の大衆食堂で。お手本のように美しい基本のオムライス、有名なたんぽぽオムライス、今回食べたオムハヤシの3種類。



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