since 09/2001
主婦『ひめ』が書く「キッチンひめ」の食のエッセイです。
上から日付が新しいエッセイになっています。
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  ★このキュートな「ひめキャラ」は読者のともみちゃんが作ってくれました! 
August,2003
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今日の美味小話 *  8/19

 秋の始まりのレシピ。




 カナカナとひぐらしが鳴き、茄子紺の夜の帳(とばり)が降りる。
 残暑厳しいいつもの夕暮れなら、打ち水をするところですが、これっぽっちもそんな気分になれない冷夏です。
 このまま熱い太陽を見ずに、秋になだれ込むことになったら、農作物への影響は深刻なことになりそうです。
 野菜好きの我が家はとても心配です。

 さて、冷夏でも悪いことばかりではありません。
 どうやら秋刀魚が例年より早く、旬を迎えそうです。冷凍モノでない生サンマが、もう店頭に出ていますよね。
 お味も良いようで、こちらの秋の味覚は楽しめそうです。

 秋刀魚といえば塩焼きですが、お料理を作る側にしてみると、意外と副菜(サイドディッシュ)を何にしようか困ることがあります。
 お肉が入るものは、動物性たんぱく質が重複するので避けたいし、油っこい揚げ物や炒め物も、秋刀魚の脂と重なるとしつこくなるので、あまりよろしくない。
 となると、お味噌汁のほかは冷奴やお浸し、卵焼きなどでしょうか。
 わたしも変わり映えのしないお献立が多くなって、けっこう悩みます。

 そこで今日は、秋刀魚の塩焼きにあうお料理を3点ご紹介します。
 いずれもシンプルなものですが、秋刀魚の塩焼きに合わせると、ちょっと目先が変わって楽しめると思います。
 お献立に困ったときにお試しください。

 もうひとつご紹介するのは、夏の定番、豚肉の冷しゃぶ。
 こちらは秋刀魚には合いませんが、食欲が無いときにあっさりさっぱりいただけて、栄養満点のお料理です。
 冷夏で体調が良くない方も多いと思います。
 どうぞ、夏の疲れを癒して、元気が出ますように。


秋刀魚の塩焼きの美味しい焼き方
  →美味小話2002.9.26



秋刀魚の塩焼きのためのお献立





+ ししとうの味噌炒め +

ときどきピリッと『当たり』があるのが楽しい。
甘辛い味付けで、ご飯にもお酒にも合います。
辛いのが苦手なお子さんには、ピーマンでどうぞ。
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++ お茄子ときゅうりの梅和え ++

お酢の物と浅漬けの中間のような、さっぱりした和え物。
お好みでかつおぶしや胡麻、じゃこをトッピングしてどうぞ。
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+++ 生姜ごはん +++

最初の写真のご飯です。
写真は玄米で炊いた生姜ごはんですが、
白米で炊くと、より香りが立って美味です。
秋刀魚の塩焼きには白米が欲しくなりますが、
たまにはこんな変わりご飯もいいですよ。
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冷しゃぶのねばねばソース添え




モロヘイヤとオクラのねばねばソースが、
しゃぶしゃぶ豚肉によく絡みます。
隠し味で青臭さはあまりありません。
梅肉を混ぜて、よりさっぱりと。
元気が出そうなおかずです。

冷たいおかずなので、お煮物やお味噌汁など
温かいお料理を合わせてくださいね。
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今日の美味小話 *  8/14

 ファーストフードも故郷の味。〜越後の夏休み2003(3)



 新潟県には「イタリアンやきそば」なるローカルなファーストフードがあります。
 はぁ?イタリアンのやきそば??
 初めて聞いた人は誰でも面食らうネーミングです。
 しかーし、食べてみると意外と(おっと失礼)イケる!ハマります。

 「イタリアンやきそば」は新潟市の『みかづき』、長岡市の『フレンド』で出しているメニューです。(※『みかづき』では「イタリアン」という名前らしい。)
 その人気は素晴らしく、新潟市・長岡市の出身で知らない者はないといいます。
 何故そんなに人気があるのか?

「馬鹿にしちゃイケナイよ。ほんとにウマイんだから!」
 新婚の頃、長岡に帰省した折りに、夫は自らの言葉を証明すべく、いそいそと『フレンド』に買いに走りました。
 ほらこれ。と差し出されたものは、輪ゴムで止めたチープな空気むんむんのピンクのプラスチック容器。
 茶色のソースがまぶされた柔らかそうなやきそばと餃子、そして真っ赤な紅生姜が入っていました。
 なんとも摩訶不思議な光景に食べる気が失せる、ハズだったのですが、ぷ〜んと強烈な匂いが猛烈に食欲をそそります。
 ええと、この匂いは何だっけ。
 そうだ、夏祭りの夜店や、ショッピングモールのお好み食堂に漂うアレだわ。
 食べたいぞスイッチがカチッと入ります。

「へぇー、思っていたよりずっと美味しッ。ミートソース味だからイタリアンなのね」
「柔らかい中華麺にもやしのシャキシャキがいいでしょ。クセになる味なんだよねぇ」
「そうかも!キャベツにコーンも入っているわね。あら、この餃子もなかなか」
「にんにくを使っていないらしいよ」
「すごーい。ところで、どうして餃子がセットになっているの?」
「やきそばは中華、中華といえば餃子って決まっているじゃない」
なるほど。なんとなく納得するような、なんとなく可笑しいような、、、。


 イタリアンやきそばは、かれこれ40年近く地元の若者に愛されてきました。
 夫も高校生の頃、友人と立ち寄ったこともあるようですが、彼にとっては小さい頃に親しんだ印象が特に強いようです。
 当時は、今でこそどこにでもあるハンバーガーショップもフライドチキンも牛丼もまだ無く、ファミリータイプの持ち帰り寿司のチェーン店がようやくオープンした時代でした。
 母親が町へ買い物に出ると、遅いお昼ごはんにと、フレンドのイタリアンやきそばを買ってきました。
 今ならお買い物帰りに、スーパーのお惣菜やハンバーガーを買うようなものです。
 お腹をすかせてお留守番をしていた彼には、それがちょっとしたご褒美に思え、内心とても楽しみだったのです。

「だからかなぁ、すごく懐かしい気分になるんだよね」
 そぉ?と、隣室で聞いていた姑が苦笑いしていました。


 わあ、イタリアンやきそばだ♪
 夫が買ってきた包みを見て大喜びしました。
 去年はうっかり食べ損ねちゃったから、今年はゼッタイ食べようね、と夫にリクエストしてあったのです。
 1個を夫とつつくのがまた楽しい。
 ファーストフードらしい濃い目の味は正直なところ、わたしには少々苦しいので、はんぶんこでちょうどいいのです。
 もうちょっと、と舌が満腹し切らないうちにささっと食べ終わって、ああ満足です。

 すっかりヤラれてしまったローカルな味。
 トウキョウでも買えればいいのに。
 でもそれじゃあ“故郷の味”ではなくなってしまうかな。



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『フレンド』 イタリアンやきそば 
餃子とセットの場合、税も入れて400円(たぶん)。安さも◎
試してみる価値大です。
※写真のイタリアンやきそばは「パルス北長岡SC」(長岡市豊1丁目)で購入。


イタリアンやきそば愛好者のページ→


今日の美味小話 *  8/7

 涼味満点へぎそば。〜越後の夏休み2003(2)



 ツツツーッ、つるつるつるっ。
 蕎麦が舌をすり抜けて、のどから胃へすべるように落ちていきます。
 夏の「へぎそば」には、清冽という言葉がほんとうによく似合う。

 今日訪れたのは、長岡小嶋屋の殿町本店。
 夫もわたしもここのお蕎麦が大好物。帰省したら必ず立ち寄ります。

 「へぎそば」は越後独特の蕎麦で、「へぎ」というのは剥ぎ板で作った四角い器のことです。「へぎ」に盛るから「へぎそば」。
 蕎麦はつなぎに海藻の「ふのり」を使い、つるつるとした食感が特徴です。
 蕎麦らしくない淡い緑色がのど越しのよさを連想させますが、蕎麦の色あいはお店によって異なるらしい。
 小千谷の有名なお蕎麦屋「須坂屋」のへぎそばは、小嶋屋よりもっと蕎麦の色が濃いと聞きました。
 こちらも義父母オススメのお店なのですが、まだ行ったことがありません。

 ひとくちに「旨い蕎麦」といっても、さまざまな蕎麦があります。
 蕎麦の香りや味を堪能したいのなら十割(100%そば粉、生粉打ち)がいいだろうし、江戸っ子よろしくずずずっと啜る蕎麦なら二八(八割そば粉)、のど越し重視ならつなぎに山芋を入れたのなどがいいということになるでしょう。
 へぎそばはのど越し重視のタイプですから、広く受け入れられる反面、蕎麦通にはもしかすると物足りないかもしれません。
 わたしは江戸で食べるなら二八、越後で食べるならへぎそば、と勝手に決め込んでいます。

 やっぱり小嶋屋は美味しいわあ!
 遠慮なく思う存分ツツツーッとやり、そば湯もお代わりして、ほっこり満足満腹。
 天ぷらも、人数分より2人前多く注文したへぎそばも、きれいに空っぽです。
 
 お蕎麦を満腹になるまで食べるなんて、あんまり粋じゃないけれど、いいの、たまにしか来られないのだから。
 そう自分に言い訳しながら、足はお土産コーナーへ。
 しっかり自宅用を買いました。
 自宅でいただく「へぎ」無しのへぎそばも、これまた美味なり。楽しみ楽しみ♪






へぎそばには炒り胡麻と山葵が添えられる。
胡麻は半ずりに、
山葵はお砂糖少々をつけてすりおろす。
お蕎麦に胡麻もなかなか美味。

昔、ここで出会ったミニすり鉢が気に入って、
トウキョウで似たものを買いました。
とても重宝しています。





浅葱(あさつき)の根っこも定番の薬味。
皮をむいて、そのまま薬味に。
刻みねぎよりも少し辛みがあって、なかなかのお味。
皮入れ用に、折り紙で折った小さな箱が置いてありました。


お蕎麦が出てくるまで、
胡麻をごりごり擂ったり、山葵をざらざら摩り下ろしたり、
浅葱をぷちぷち皮剥きしたり。
そんな作業も、食べるぞ意欲を盛り上げる。





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長岡小嶋屋
長岡市殿町(とのまち)2丁目2-9
電話; 0258-39-0543

◆須坂屋
小千谷市小粟田(おわだ) 参考ページ→
今日の美味小話 *  8/6

 やな場で鮎を楽しむ。〜越後の夏休み2003(1)

 夫の故郷、新潟県で夏休みを楽しんできました。
 今日から連続で、ひめ夏休みの風景をご紹介しようと思います。


 まずは鮎のやな場、越後川口の男山漁場から。

 「やな」とは「簗」と書き、川をせき止めてお魚を取る仕掛け。いわゆる「鮎やな場」は観光用の簗があって、鮎料理を食べさせる場所をいいます。
 ここ魚野川(うおのがわ)は、谷川連峰を水源とする信濃川水系の清流です。
 鮎釣りのメッカとして知られ、7月上旬の解禁日から多くの釣り人がやってきます。

 魚野川のやな場では、堀之内(ほりのうち)と川口(越後川口)が有名です。
 義父(舅)のオススメは、川口のやな場。
 話によると、魚野川を眺めながら鮎に舌鼓を打つにはここがイチバンらしい。
 去年、ここで鮎を堪能してすっかり虜になったわたしは、今年もとても楽しみにしていました。

 わたしたちが男山漁場を訪れたのは、ようやく遅い梅雨明けした日でした。
 薄い曇がかかる明るい空で、8月にしては静かな暑さ。
 サングラスを取ると、穏やかな川の景色が優しく広がりました。

 やな場の建物は古くて簡素です。
 初めて訪れたときは、立派な料亭風を想像していたので少々驚きました。
 でも2回目ともなれば、風景に溶け込む素朴な雰囲気も田舎らしくて、ゆっくり過ごすのにぴったりだとわかってきます。
 高床式の建物は、床下つまり地上部分は鮎や鰻が泳ぐ生簀(いけす)があり、外階段を上がったところが宴会場のようにだだっ広い、畳部屋のお食事処です。




簗にかかる橋からお食事処の建物を見る。



川は写真右手から左手へ流れている。
簗は川をせき止めるように作られている。






 注文した鮎が出てくるまで、外階段からつながる細い橋を渡って、川の中ほどの簗(やな)に遊びにいきました。
 魚野川は前日の雨ですこし濁っていましたが、それでも川底がくっきりと見えるほど水は澄んでいます。
 川の流れは思いのほか勢いが強く、ごぉぉごぉぉと流れる音に、ぼそぼそとしゃべる声はかき消されてしまいます。
 大音量が騒音ではなく爽音になるのは、自然が生み出す音だから。そんな当たり前のことを忘れていたことに気が付き、当たり前のことに感動し癒される。
 贅沢で美しい非日常の時間です。

 水に浸した足元で、ひんやりした白い泡が渦を巻いていました。
 つま先から空をつかむ指先まで、清流の気が満ちてきます。耳も鼻も目も全開で川を感じる、この感じがたまらない。
 子どもじゃなくても、楽しくて気分爽快になれる場所なのです。




簗はでは子どもが流される心配が無い。
水着やビーチサンダル持参の子どもも多い。
時間が良ければ、魚がすのこに上がったり箱にかかるのを見られる。




 簗から戻りがけに、お食事処の隣の厨房らしき部屋をのぞくと、炭火で鮎を焼いていました。
 白い煙がもうもうと立ち込める中、素晴らしく日焼けした逞しいお兄さんたちが流れ落ちる汗をぬぐいもせず、黙々と作業しています。
 そうは書いてなかったけれど、あそこは女人禁制に違いない、、、。
 空間がゆがみそうな熱気と男たちの汗にあてられて、早々に見学を引き上げました。








 さて、待ちに待った鮎料理。
 お刺身に塩焼き、鮎ご飯、鮎酒をいただきました。

 川魚は臭みがあるとよく言いますが、ここの鮎のお刺身はちっとも臭みがありません。コリコリと歯ごたえ良く、淡白なお味です。薬味はおねぎと生姜。

 鮎もいろいろな食べ方がありますが、お楽しみは何といっても塩焼き!
 炭火焼きなので、ほど良くお塩がまぶされた皮はパリパリです。
 煙のスモーク効果もあるのでしょう、黄金がかって美しく、香ばしい匂いがいっそう食欲をそそります。
 真っ白な身はふっくらして、繊細な舌触り。
 上品とか淡白などという単語では申し訳ないような、すがすがしい味わいです。
 一皿2尾なのですが、御代わり必至。わたしは3尾、ぺろっと食べました。

 釣りたてを炭火焼きしたら、どんなお魚でも唸るほど美味なのだろうけれど、わたしの中ではとにかく鮎は別格。
 鯛か鮎がどちらかを選べと言われたら、わたしは迷わず鮎を選ぶでしょう。
 でも、トウキョウの人工的な空間の中では絶対ダメ。
 どんなに高級な鮎でも嘘臭く感じてしまうから不思議です。

 美味しい鮎を食べる秘訣、それはやっぱり川の風なのかもしれません。







鮎の塩焼きのあしらいには「はじかみ」(葉しょうが)が一般的ですが、
ここではなんと「またたび漬け」。(手前の緑色の実。)
またたびの実を塩漬けにしたもので、独特の苦味と風味があります。
酒の肴としても親しまれているようです。





鮎ご飯。焼いてほぐした身と卵が混ぜてある。
去年はいまひとつに感じたが、今年の鮎ご飯はとても美味しかった。
炊きたてだったのかしら。




 お食事処は川に向かって大きく開いており、川を渡る風が心地よく通り抜けます。
 真上に昇った太陽に川がきらきら光り、山の深緑と光の白が目に沁みます。

 義母のビールのコップがくいっと空き、義父は2杯目の鮎酒を注文しました。
 ふぐのひれ酒も美酒ですが、鮎酒はもう少し穏やかで飲みやすい印象です。
 浸かっている鮎がこれまたお酒が染みて美味しいこと。呑んべえには堪えられない旨さでしょう。
 外ではほとんど飲まないわたしも、分けてもらってちびちびと楽しみました。

 こんなに気持ちがいいところで、満腹でほろ酔いの身体を窮屈に折り曲げて正座しているなんて、無理な相談です。
 手足を投げ出して、ああいい気分!
 おそるおそる周りを見ると、他のお客さんたちも皆、足を崩したり横になったりと気楽に寛いでいました。
 お隣のテーブルのお父さんは座布団を枕に、すっかりお昼寝モードです。

 ふと見ると、「ひるねはご遠慮願います」と張り紙が。
 でも今日は平日。しかもまだ正午前で、団体のお客さんもないからダイジョウブかな。
 お店のお姐さんは別段気にするでもなく、お昼寝お父さんの脇をすたすたと鮎を運んでいました。









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※魚野川について  
※「やな」について 
 
〜両ページともしなのがわコンパスより(国土交通省北陸地方整備局信濃川河川事務所HP)

◆越後川口やな場 男山漁場 →
  電話; 0258-89-3104
(オフシーズンがあるので電話予約した方がよい)

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